忘れはしない時と唄

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【小説】闇に溶ける闇 『皮切り』 

愛しいが恐ろしく

美しいのに忌まわしい





 その日、男は帰途につく前から漠然とした恐怖を感じていた。
 思い起こせば、近頃奇怪なことばかりであったのだ。今朝の異変はその一端に過ぎない。あんなこと、それこそ今に始まったばかりではないはずだ。
 いつもいつも、男を悩ませる「種」は己の尻尾のようについてまわる。
 その度に、逃げて、逃げて、逃げ回った。
 いつの日か振り返れば、それはトカゲの尻尾のようにぷちんと切れ、どこか遠い遠い闇の底へと落ちているかもしれない。気がつけば、この忌々しい苦しみから解放されているかもしれない。

 だが、それはいつのことだ? いつになったらその日がくるのだ?
 このままでは気が狂ってしまう。自我が音を立てて崩壊してしまう。
 俺は悪くない、悪くないのに、何故こんな目に――

 その日、男は帰途につく前から漠然とした恐怖を感じていた。
 恐怖心はより明確なものへ。
 玄関の扉を開けた瞬間目に飛び込んできた、愛おしくも忌まわしい、「己の尻尾」によって。



『闇』へ続く
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カテゴリ: 中編

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