忘れはしない時と唄

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【小説】一握りの距離 ② 

想いは過去へ

記憶を手元に――




 祖父母は駅まで迎えに来てくれていた。
 無人駅のそこは他に誰も人がおらず、風だけが二人と共に出迎えてくれた。
 焼けるように暑い日差しのもと、涼やかな風に乗って土と緑の匂いを味わう。見渡せば、ぐるりは山に囲まれた緑豊かな風景。蝉が見慣れぬ客人を見つけ、我が家へようこそというように騒がしく鳴き始める。
 まさに「田舎」という名がふさわしくもあり、その名に恥じない景観でもあった。
 帰りにかき氷食べて行こうと言いながら私の背を押す祖父と、着替えや土産が入った私のリュックをひょいと持ってくれた祖母。
 二人は、夏の太陽に負けないほどの眩しい笑顔を溢していた。

 祖父母の家は漫画もゲームもない、なんともつまらない所だという認識をしていた私だったが。
 夕飯までの間、祖父と竹とんぼを作って空へ飛ばしたり、竹馬の乗り方を教わっていたらあっという間に時間が過ぎた。
 祖母が腕をふるったご馳走は珍しいものばかりで。
 今思えばおそらく、山菜や川魚の類だったろうか。あの頃は全てのものが美味しく、あっという間にたいらげたのを覚えている。
 いつもはテレビを見ながら食事をしていた私だったが、あんなにも会話を楽しみながら食べることは初めてだった。

 だが、二日目になればそうのん気なことも言っていられなくなる。
 何故自分は、一人でこんな田舎にいるのだろう。
 何故祖父母と一緒に過ごしているのだろう。
 父や母、姉はいったいいつこちらに来るのだろう。
 私はずっと帰ることすら出来ないのではないか。
 いわゆる、ホームシックというやつだ。今度は祖父母を困らすことになったのだ。

 我がままを言い散らし、ひとしきり泣くと、一人で家を飛び出した。
 駅に向かおう。そこから電車に乗って、家族の待つ家へと帰るのだ。
 漠然としたそんな考えが、ぐるぐると頭の中を駆け巡っていた。

 そんな時、「あいつ」と出会った。
 本当に偶然であり、忘れられない出会い。



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カテゴリ: 短編

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コメント

ショートショートは読み終わったので、
次はこちらを読ませてもらうことにしました。
きっとゆっくりになると思います。笑。

「アイツ」とはいったい誰なのか、すごく気になります。

ヒロハル #- | URL【2012/01/27 13:53】edit

>ヒロハルさん♪

ショート読み終えたのですか!わわわ@@;
ありがとうございます~!感動なのです;;
私はヒロハルさんほど作品数が多くないので、本当ゆっくりとお楽しみいただけたらと思います(笑)

このお話。本当に短いものでして…
短期間で書き上げたので、おかしな箇所も見受けられるかもしれません^^;
その時は遠慮なくおっしゃってくださいね♪

いつもありがとうございます!
お返事やご訪問が遅れております。本当にすみません;;
また伺いますね~!^^

chacha #- | URL【2012/01/29 13:53】edit

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